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一番の焼きもちやきは誰だ
「りょうおじちゃん、れいじさんのところに行ってもいい?」
「あぁ、いっぱい遊んでもらえ」
遼成が光希の細腰をぐいっと自分の方に引き寄せると、龍成も負けじと自分の方に引き寄せた。
「龍、手邪魔」
「は?遼兄貴の手の方が邪魔だ」
いつものように兄弟喧嘩がはじまった。
「遼も龍も、喧嘩をしている場合じゃないのに」
光希がくすくすと笑いながら、奏音に温かい眼差しを向けた。
「初めましてコウジさん、かなたです。よろしくおねがいします」
ぺこっと頭を下げると、
「れいじさんちょっと待っててね」
背負っていたリュックサックを下におろすと、中から封筒を取り出した。
「これは?」
「あゆさんからのラブレターだよ」
「亜優から?会わないうちに日本語が書けるようになったんだ」
嬉しそうに目を細めた。
「れいじさんごめんなさい」
「なんで坊っちゃんが謝るんですか?」
「かいたのはぱぱたんなんだ。あゆさん、日本語分からないから、あゆさんが話したことをぱぱたんが代わりにかいたんだ。あ、でも、下の方にかいてあるのはあゆさんがかいたんだよ」
「中国語一日でも早くマスターしないと亜優に嫌われますね」
「きらいにならないよ。だってあゆさん、れいじさん好き。待ってるって。かいたんだよ」
「嬉しいです。坊っちゃんありがとうございます」
何度も頭を下げ、ポケットにそっとしまいこんだ。
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