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一番の焼きもちやきは誰だ

仲睦まじいふたりを見た奏音が哀しそうに目を潤ませると、 「ママはぼくよりおじいちゃんがいいんでしょう。かなた、じゃましないよ。ちがうへやでねるね」 涙を手の甲でごしごしと拭うと、ふらふらと起き上がり、蚊帳から外に出てどこかに走っていってしまった。 「遼、遥琉が言ってたこと忘れた?奏音が昔のことを思い出して情緒不安定になるから、奏音の前でいちゃつくの当分の間禁止。我慢して。あれほど頼んだのに」 光希が追い掛けようとしたら廊下に控えていた玲士とコウジが、 「坊っちゃん!」 奏音のあとを慌てて追い掛けていった。 「やっと親子らしくなれる。そう思ったのに」 「光希ごめんな」 「もう遅いよ」 両手で顔を覆う光希。 父親は交際相手とちょっちゅう出掛け家を留守しがちだった。虐待を疑われ、一度通報されたあとは、ラブホテルにも奏音を連れていくようになった。車の中で父親が帰ってくるのを腹を空かせてひたすら待つこともあれば、父親は恋人との性行為をわざと見せびらかすこともあり、奏音の心に深い傷を負わせてしまった。

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