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一番の焼きもちきは誰だ

龍成に抱っこされ奏音が客間に戻ってきたのはそれから一時間後のことだった。 「玲士とコウジから逃げ回り、テーブルの下に隠れたまま寝てしまったみたいだ」 起こさないようにそっと光希の隣に寝かし付けると服にぎゅっとしがみついてきた。 右の人差し指と薬指の爪をずっと噛んでいたのだろう。血が滲んでいた。 「ごめんね、寂しい想いをさせて」 しゃくりあげながら眠る奏音に光希は謝った。 「明日、奏音を先代に会わせる約束をしたんだが延期させた方が良さそうだな」 「まどかに焼きもちを妬かれながら、孫に会えるの楽しみにしていたんだ。会わせてやらないとあとで小言を言われるぞ」 「それはそれで面倒だな」 先代の遼禅は4ヶ月前に家を出て、恋人のまどかと新しい家で暮らし始めた。 遼禅72歳に対し、まどかはまだ40代だ。 遼成とさほど年が変わらない。遼禅の舎弟を顎で使い、金遣いの荒いまどかを遼成と龍成は毛嫌いして、籍をいれることに猛反対している。 「兄貴、少し離れろ。暑苦しいんだよ」 「それはこっちの台詞だ」 光希と奏音にぎゅっと抱き付く遼成と龍成。体の半分ははみ出してはいるものの一つの布団で四人仲良く眠った。 これじゃあ、わざわざ布団を三つ並べて敷いた意味がないのだが。

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