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いいか奏音、逃げるが勝ちだ

奏音がかつて愛した女の孫という、肝心要のことをまどかに伝えていなかった遼禅。 しかもその女が遼禅が特に気に入っていた紅子だと知るや、嫉妬したまどかは烈火のごとく怒り出し、わざわざ挨拶しに来た奏音めがけて近くにあったものを手当たり次第投げつけたのだ。 思わぬとばっちりを受けることになってしまった奏音。とんだ災難に見舞われてしまったが、遼成と龍成が体を張って奏音を守った。 実の父親に喧しい!黙れ!ほんの些細なことで怒鳴られ、よほど虫の居所が悪かったのだろう。灰皿を頭に投げ付けられたことがある奏音。昔のことを思い出し、怯えるようにガタガタ震えて泣きじゃくっていた。 遊園地に連れていけば、もしかして泣き止むかも知れない。キャラクターショーを見て、光希手作りの弁当を食べれば元気になるかも知れない。遼成の提案で、龍成が奏音を街中にある遊園地に連れていき、遼成は光希を迎えに自宅に戻った。 光希とふたりの夫の仲の良さを妬み、縣一家の構成員全員から男なのに姐さんと呼ばれ慕われることに嫌悪感を抱くまどか。光希のことを毛嫌いし、絶縁状を突き付けた。 光希は大急いで弁当を作り遼成と一緒に遊園地に向かっていた。 後部座席に座る光希の膝を枕代わりに横になる遼成。長い脚を器用に組み、満面の笑みを浮かべていた。

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