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奏音には敵いません
軽快な音楽が流れるなか、メリーゴーランドではシマウマや馬の張りぼてがゆっくりと回っている。その後ろをキリンが追い掛けていた。
「分かった。注意する。あ、そうだ龍成、俺がいないからってあまり光希といちゃつくなよ」
ー分かってるよ。そんなことより奏音は?ー
動揺し話題を変える龍成。
「大人しく列に並んでいる」
遼成は目を細め、しかめ面になった。それを見た家族連れが慌てて、後ろに並んでいたカップルに順番を譲った。
「りゅうパパ何て?」
「怖いおじちゃんがウロウロしているから気を付けろって。なぁ奏音、前から一度聞きたかったんだが、なんですんなり俺たちを父親として受け入れてくれたんだ?普通はあり得ないことだろう?それになんで男なのに光希をママとして選んだんだ?」
「かなた、みつきママに会って、一回で好きになっちゃったんだ。一太くんのパパに、パパがふたりいるって聞いてかなた、うれしかった。だって、いっーーーーぱい、遊んでもらえるでしょう」
広げられるだけ両手を広げる奏音。
「一目惚れってやつか。奏音にママを取られないように俺もりゅうパパも頑張らないとな」
ふたりの会話に後ろに並ぶカップルの顔がひきつっていた。
そんなときだ。男の怒鳴り声が後ろから聞こえてきたのは。
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