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奏音には敵いません
「りょうパパね、すっごくカッコ良かったんだ」
「そう。良かったね」
メリーゴーランドから戻ってきた奏音。
満面の笑みを浮かべ、目をキラキラと輝かせ、ずっとしゃべり続けながらお握りを頬張っていた。
「ごはん粒付いてるよ」
行儀が悪い。橘なら間違いなく注意しているだろうな。こんなにも楽しそうな奏音を見るの久し振りだし、今日だけ大目にみよう。光希はクスクス笑いながら、口の回りに付いているごはん粒を一粒ずつ取ってあげた。
それを見た龍成がわざと頬っぺたにごはん粒を付けて「俺のも取って」と光希におねだりをはじめた。龍成は、遼成の頬っぺにわざとごはん粒を付けた。
「龍、俺を巻き込むな」
「本当はやりたい癖に」
「は?」
「顔にそう書いてある」
「な訳……あるかもな。たまには甘えるのもいいかも知れないな」
奏音に負けじと構って欲しいふたりの夫。これには光希も怒るにも怒れず、笑うしかなかった。
鈴木を監視していたタツジが戻ってきて、テツに報告した。
「オヤジ」
「まっとうな方法でシノギを稼げば誰も文句は言わないのにな。兄貴の爪の垢を煎じて飲んだ方がいいかもな」
遼成がおにぎりを一口頬張った。
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