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奏音には敵いません

遊び疲れた奏音は車に乗るなり眠ってしまった。 「りょうパパ、これからおしごとなの?」 ドアの開閉の音で目を覚ました奏音。 「起こしたか?ごめんな」 「ううん、大丈夫。りょうパパ、おしごとあるのに、ゆうえんちにつれていってくれてありがとう。かなた、すっごく楽しかった」 「随分と嬉しいことを言ってくれるじゃないか。俺も楽しかったぞ。帰りが遅くなるかも知れないから、ママと先に寝てていいぞ」 うん、大きく頷いた奏音は眠り眼を擦りながらあることを遼成に頼んだ。 「分かったよ」 「じゃあ、ゆびきりげんまん」 「たく、しょうがねぇな」 口ではそう言ったものの、遼成は嬉しくて仕方がなかった。自分にだけ他人行儀でよそよそしかった奏音が、りょうおじちゃんではなく、はじめてりょうパパと呼んでくれたのだ。 舎弟たちが側にいなければ男泣きしていた。 「パパ、行ってらっしゃい!」 ぶんぶんと手を振り、笑顔で遼成と龍成を見送った。 「ママ何してるの?」 「龍が帰ってくる前に自分の服を洗おうかと思って」 「何で?」 「何でだろうね」 光希は笑って誤魔化した。 龍成は他の男の匂いがしないか光希が着た服を全部チェックしてから洗濯機に投入する。 光希は汗くさい匂いを嗅がれるのが嫌で龍成が帰ってくる前に急いで洗濯機を回そうとしていたのだ。

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