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りゅうぱぱもいくよ~奏音には勝てません~
「まさか縣家で卯月家名物のアレを見る日が来るとはな」
「うちも似たようなもんだぞ」
風呂場からわぁ~~っと一斉に真っ裸で子どもたちが逃げてきた。タオルを手に玲士とコウジがあとを追い掛けるも、そうやすやすと捕まるわけにはいかない。子どもたちも逃げるのに必死だ。
「夜になってもムシ暑いんだ。服を着たくない気持ちも分からない訳ではない」
「凪も碧も優真も追いかけっこが大好きだから、みんな楽しそうだ」
「転ばないようにな」
遼成と笹原が愉しげに笑いながら見ていた。
風呂担当はもちろん龍成。
柚原に出来るんだ。俺にだって出来ると子どもたちを引き連れ意気揚々と風呂場に向かった龍成だったが、10分も経たないうちに先に上がってきた。20分過ぎても子どもたちが上がってこなくて心配した光希と心が様子を見に行くと、奏音が三人の面倒をみて仲良く風呂で遊んでいた。
卯月家に引き取られてから主の卯月をはじめ、柚原と橘と一太の背中をずっと見てきた奏音。小さい子たちの面倒や世話を、まわりにいる大人に言われなくても自分から率先して手伝うようになった。
「凪、碧、ママっておいで。ゆうくん、千ちゃんっておいで」
ノンアルコールビールをひとりで呑んでいた、千里が両手を大きく広げると、キャキャとはしゃぎながら競うように飛び込んでいった。
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