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ひとりでも小さい命を救いたい
その頃光希たちも、
「ちょっと地竜!」
地竜の手下の男たちから赤ん坊を渡され唖然としていた。
「今度は養子の斡旋業者をはじめたの?」
「保護した子どもたちがベビーラッシュなんだよ。まさか小学生くらいの子どもが妊娠しているとは誰も思わないだろう。中には生まれるまで妊娠に気付かなかった子どもいる。保護施設建設に関わってくれた大勢の支援者に、開設の目処が立ったから挨拶するために帰国したんだ。赤ん坊を連れてきたのは今起きている現状を伝えるためだ。おぃ、千里。人が真面目に話しをしているときに写真を撮るな」
「だって、横顔がメチャメチャ格好いいんだもの。未知に見せたらきっと二度惚れするよ」
「そうか?それならもっとカッコ良く写してくれよ」
「りょーかい」
愛妻家の地竜は未知のワードにめっぽう弱い。遼成と龍成と同じだ。
「ママ」今にも泣きそうな目で奏音が光希の袖を掴みつんつんと引っ張った。
「もしかして、焼きもち妬いてる?ごめんね、千里、抱っこしてよ」
「えぇ!ふたりいっぺんには無理。ダ~リン、ヘルプ!」
千里が笹原を呼ぶとすぐに駆け付けてくれた。
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