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10年後の未来
「ちょっとお兄ちゃん‼」
「光希ママはお兄ちゃんだけのものじゃないよ」
朝から光希にべったりの奏音。隙あれば抱き付き、あちこちベタベタと触りまくっている。
「弁当作りを手伝っているだけだろう。光希ママ、卵焼き味見したい」
「これで最後だよ。あ~~んして」
「うん」嬉しそうに口を開けた。
高校3年になった奏音は立派なマザコンに成長を遂げた。
遼パパと龍パパがいないときは、光希と風呂も寝るのも一緒。光希に添い寝してもらわないといまだに寝れないという筋金入りのマザコンだ。光希ママラブだ。
一方のしずくとさくらは奏音より自立していて、光希がいなくても寝れるし、自分のことはなるべく自分でやるようにしている。
「奏音、遅刻しても知らないぞ」
遼成がいらいらしながら声を掛けた。
「はぁ~~い」
生返事すると名残惜しそうに光希から離れた。
「しずく、彼氏が迎えに来てるぞ」
「だから彼氏じゃないってば」
胸がふっくらしてきたりと最近お年頃のしずく。
初恋の相手はもちろん3つ年上の卯月優真だ。
「さくらも気を付けていくんだよ」
「うん、分かった。しずく、行ってらっしゃい」
笑顔で手を振ってしずくが元気に登校していった。
奏音もカバンを担ぎ、弁当を持って登校していった。
さくらは遼成と龍成が毎日交代で市内にある支援学校まで送り迎えしている。
今日の担当は龍成だ。
龍成とさくらを見送ると遼成はすぐに家の中に戻り、台所で茶碗を洗っていた光希を有無言わさず横抱きすると、寝室に連れ込んだ。
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