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新たな事件のはじまり

「ママただいま。お腹空いた。夕ごはんなに?」 辺りが薄暗くなる頃、カバンを肩に担ぎ奏音が学校から帰ってきた。 「あれ?ママは?」 返事がなく、台所や居間にもいなくて家中を探し回った。すると10分後、しずくとさくら莉子と四人で仲良く連れ立って帰ってきた。 「ごめんね奏音。ついさっきまでマスコミがたくさんいて、家にも近寄れなくて裕貴さんの家にいたんだ」 「そうなんだ。さくら、段差があるから気を付けろ」 「ありがとうお兄ちゃん」 さくらに声を掛け、 「しずく、荷物寄越せ。重いだろう?」 「ありがとうお兄ちゃん」 しずくが両手に下げていた買い物袋を代わりに持ってやった。 光希に抱っこをねだる莉子に対しては、 「莉子、ママ疲れているからお兄ちゃんが抱っこしてやる」 そう言って抱き上げてくれた。 「父さんたちは?」 「那和と真沙哉を駅まで送っていったよ。どうしたの?」 「罪は償ったとはいえ、いまだに苦しんでいる人たちが大勢いるんだよ。薬物中毒による記憶障害があるとはいえ、自分が昔何をしたかほとんど覚えていないって父さんたちが言ってたけどそれって都合良すぎない?うわべだけの謝罪は誰にだって出来るよ」 奏音が怒るのも無理ない。 3日前だ。奏音を7歳まで育てた根岸悠仁がふらりと奏音の前に現れ、7歳まで育ててやったんだ。小遣いくらい寄越せと、金を無心してきた。

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