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ここちゃんパパ
「お帰りしずく」
「ただいまママ。あの、優真お兄ちゃん、その……」
手を離してくれない優真にしずくは耳まで真っ赤にし下を向いた。
「優真、しずくがゆでだこになってる」
「ゆでだこ?嘘」
優真が慌てて手を離した。
「ごめんなしずく」
「ううん、大丈夫。あのねママ、優真お兄ちゃんが助けてくれたんだよ」
「そう。良かったね。優真、夕ごはんを食べていって。さぁ、上がって」
「はい。光希さん、ここちゃんパパに連絡してもいいですか?」
「もちろん」
裕貴は父さんなのに、なぜかいまだには心のことをここちゃんパパと呼んでいる優真。
「ここちゃんパパ、優真です。光希さんの家でご飯を食べてから帰ります」
ーえぇ、いいな~~ー
「ここちゃんパパも来たら?」
ふたりの会話を聞いていた光希。俺と奏音とそっくりな会話している。ププッと噴き出しそうになった。
「優真、来てたんだ。ここちゃんも久し振りです」
奏音が学校から帰ってきた。
「奏音、久し振り。相変わらず光希ママラブだって聞いたよ」
「本当はプロポーズしたいくらいです。結婚したいくらい大好きで。でも、最強に強いライバルがふたりいるから壁がかなり高いです」
「愛あればいつか乗り越えられるよ。頑張って」
「はい」
奏音が優真をチラッと見た。
「しずくを助けてくれてありがとう」
「当たり前のことをしただけだから」
面と向かってお礼を言われ、恥ずかしくて 顔を逸らした。
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