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パパからママを取ろうなんて百年早い

「あ、そうだ。奏音はその彼女とかいないの?もしいるんだったら今度連れてきてよ」 光希はなんとかして話題を逸らそうとしたが、 「光希ママもしかして喧嘩売ってる?俺はこの十年ずっーーーと、光希ママ一途だよ。光希ママ以外眼中にない」 奏音の顔が近付いてきたと思ったら次の瞬間、額に温かなものが触れてきた。それが奏音の唇だと気付いたとき光希は全身を朱色に染めた。 「ごめんね。奏音の気持ちは嬉しいけど……」 「何がだめなの?親子だから?男同士だから?年齢が離れすぎているから?俺が子どもだから?」 矢継ぎ早に質問攻めにされ、光希はたじたじになってしまった。 「ママをあんまり困らせるな」 「引っ付きすぎだ」 ガラリと戸が開いて、素っ裸の遼成と龍成が顔を出した。 「ママをパパたちから奪おうなんて百年早い」 遼成と龍成が勢いよく浴槽に飛び込んだ。 「ちょっと待ってふたりとも。狭い。奏音が潰れちゃう」 「俺たちの息子はそんな柔じゃない」 「ママを独り占めしようとしたバツだ」 サンドイッチの具みたく真ん中に挟まれ、奏音は手の前にあったものを無意識のうちに掴んでいた。それはヌルッとしていて熱くて硬いもの。すぐにそれが何か気付き慌てて手を離した。そっと光希を見ると顔を真っ赤にしていた。

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