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こんなチャンス2度とない
「龍、遼に怒られても知らないよ」
「聞こえない。子供たちは寝てる。兄貴もいない。奏音も乱入してこない。こんなチャンス二度とない。そうだろう?」
至近距離で深い色合いの瞳と見つめ合う。
吐息が甘く絡み、続いて唇が重なった。
「ん……」
こんなことをしている場合じゃないのに。頭では分かっているのに。
キスも、あやすように首筋を撫でる指先も優しくて。
頭のてっぺんから爪先までが甘い幸福感で満たされていく。
遼成や龍成の広い胸にすっぽりと抱き締められると絶対の安心感があった。
でも、ふたりの体温を感じているうち、それだけでは済まなくなるから、困ったものだ。
たっぷりと光希の口内を貪ってから、龍成はやっと唇を離した。
唇の端から溢れた唾液を追って、龍成の唇を肌を伝い落ちる。
首筋に鎖骨に、小さなキスの雨を降らせながら、手慣れた手付きでパジャマのボタンを片手ではずしはじめた。
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