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鬼の居ぬ間に
「鬼の居ぬ間になんとやらだ。たまにはいいんじゃねぇか」
「よくねぇ」
遼成は憮然面するとぷいっとそっぽを向いた。
「図体はデカイ癖に中身はガキだな」
「五月蝿いな」
「五十二才にもなって弟に焼きもちか。たまにはしずくとさくらを見習え。奏音や父親たちよりも自立しているぞ」
「余計なお世話だ」
耳の痛いことを矢継ぎ早に言われしまいにはへそを曲げてしまった。
「遼成、機嫌を直せ。いつまでふて腐れているつもりだ。俺だって長居するつもりはない。用件だけ手短に言うぞ。愛する妻が首を長くして待っているからな。手口は十年前と一緒だ。いかにも胡散臭いセミナーをあちこちで開催している。シェドはムショのなかだが、熱心な信者により神格化され信仰されている」
国井や甲崎らサツがカルト集団を解散寸前まで追い込んだ。それまでシェドの忠実な犬だったテウが土壇場でシェドを裏切り、サツにアジトの場所を密告し、有り金をすべて持ち出し海外へ逃亡したのだ。
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