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一年ぶりの帰省
「おぅ、光希か。久し振りだな。お、しずくとさくらも来てくれたのか。その子が莉子ちゃんか。めんげぇな。はじめましてじいちゃんだよ。ほら、おいで」
笑顔でしずくとさくらを手招きした。
「危篤だって聞いたから急いで帰ってきたのに……」
父親の元気な姿に光希はがっくりと肩を落とした。
「孫パワーよ。莉子ちゃんとまだ一度も会ってないんだ。まだ死ぬわけにはいかないってね」
光希の母親の茉友《まゆ》がくすくすと笑いながら病室に入ってきた。
「莉子ちゃんはじめまして。ばあちゃんよ」
莉子は光希の服にしがみつき、じぃーと見上げた。
「ママのママだよ」
「りっちゃん」
「お上手に返事が出来て偉いわね。じゃあ、ばあちゃんもまーちゃんって呼んでもらおうかしらね。しずくもさくらも大きくなったわね」
父親は元市職員、母親は元中学校教諭。
紆余曲折あったが、ふたりは同性婚をした息子に理解を示し影ながらそっと見守っている。
「あら珍しいわね。光希にべったりの奏音がいないなんて」
「お兄ちゃんは留守番」
「いつもママを一人占めしているんだよ」
「ズルいよ」
二人の声が見事にハモった。
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