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一年ぶりの帰省

「誰かと思ったら光希さんじゃねぇか。めんこいややこが増えたって聞いたぞ。おめさんがそのややこか?」 廊下でウーの夫の斉木にばったり出会った。はじめて聞く福島弁に莉子は目を丸くしていた。 次に現れたのは白衣姿がなんとも凛々しい優だった。 「あれ光希。どうしてここに?」 「父が危篤だって聞いて急いで駆け付けたんだけど……」 ちらっと病室に目をやった。 「そうか鬼頭さんの息子だったんだ。茨木さんと度会さんたちと囲碁をしていたときに体調不良を訴えて。異変にすぐに気付いた遥琉が救急車を呼んだ。茨木さんや度会さんが俺や斉木先生に症状を的確に教えてくれたからすぐに対処することが出来た」 「そうだったんだ。また遥琉に借りが出来た」 「光希は妻の大事なママ友。貸し借りはナシだ」 「そういえば未知は?亜優から悪阻が酷いって聞いたんだけど」 「未知さんもまさか妊娠しているとは思っていなかったんだべ。たまげていた」 「子どもたちも俺も遥琉も大喜びだ。一太と遥香に年の離れた兄弟なんて恥ずかしいから嫌だ。てっきりそう言われると思ったが」 「その一太と遥香が一番喜んでる。おもしぇんだ」 優と斉木とそんな会話をしていたら、莉子が光希の服を掴みツンツンと軽く引っ張った。

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