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さくらの初恋のひと

「へぇ~~さくらは一太お兄ちゃんが好きなんだ」 「そんな訳ないでしょう」 「それならなんで顔が真っ赤なの?」 「それは、その……」 図星をつかれ言葉に詰まったさくら。しずくがクスクスと笑い出した。 「しずくだって優真お兄ちゃんと一緒だと顔が真っ赤になるくせに」 「ふたりとも喧嘩しない。ラーメンが伸びるぞ」 奏音が仲裁に入った。 「どうぞ」 一太が光希と莉子の前に飲み物をそっと置いた。 「ちゅるちゅる、おいちー」 「ありがとう莉子ちゃん。おかわりたくさんあるからね。遠慮しなくてもいいからね。あと、危ないから箸を持ったまま振り回さないんだよ」 「はぁ~い」 にっこりと微笑む一太。それを見た光希がぷぷっと笑い出した。 「お父さんにそっくりだね」 「え?そうですか?」 戸惑いながらもまんざらでもないのか一太は嬉しそうにはにかんだ。 「そういえばお母さんの姿が見えないけど……悪阻が酷くて寝込んでいるとか」 「入院している。絶対安静だって」 「そうなんだ。ごめんね、大変なときに押しかけて」 「そんなことないです。賑やかな方がみんな好きです。だから、気にしないでください。たいしたおもてなしは出来ませんがゆっくり過ごしてください」 一太は軽く頭を下げると台所に戻っていった。

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