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玲士と再会
「光希会いたかった!元気だった?」
「光希、この前はありがとうね」
ラーメンを食べ終わるころ紗智と那和と亜優が会いに来た。お互いにしっかり抱き合い再会できた喜びを爆発させる四人。
莉子は箸を握ったままキョトンとして眺めていた。
「光希さんお久し振りです」
玲士が腰を九の字に曲げ、深々と頭を下げた。
「久し振り。元気そうで良かった。あ、そうだ」
光希が背筋をぴんと伸ばした。
「事務局長就任と、菱沼コンサルタント株式会社の社長就任おめでとう。遼も龍も自分のことのように喜んでいたよ」
「ありがとうございます。余所者だった俺を菱沼組のみんな、温かく迎えてくれたんです。感謝しかないです」
「遥琉の息子婿だけど、決して天狗になっちゃだめだよ。オヤジを支え、幹部たちと協力しあい、次の世代を担うであろう舎弟たちをしっかり育ててよ。部屋住みの若い子たちも同じ。こき使ったり顎で使うなど言語道断だからね」
「はい、肝に銘じます」
玲士の腕のなかにはすやすやと眠る小さな男の子がいた。
「はじめまして、朝陽《あさひ》くん」
ぷにゅぷにゅの柔らかな頬っぺを指でつんつんすると、にこっと微笑んでくれた。
一年前だ。優と斉木の勤務先の病院で置き去りにされていた男の赤ん坊を玲士と亜優が引き取ったのは。
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