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未知との再会
一時間後、光希が奏音の様子を見に車に行くと、なにやら熱心にスマホを操作していた。
「ボスママたちに、オヤジと優が姐さんにデレデレになって甘えている姿と、子どもたちと仲良く遊んでいる写真を一方的に送り付けたみたいだ」
「なんでまた」
「奏音さんが言うには、ボスママたちは自分の家庭になにかしか問題を抱えている。例えば、子育てがうまくいっていない。旦那ともうまくいっていない。だから、幸せそうな姐さんの家庭を妬み、あぁでもない、こうでもないと言って攻撃しているんだって。家庭になにも問題がなければ、他人に関わっている暇はないはずだって」
弓削の言葉に光希は驚いた。十年前、転校早々奏音がクラスの男子児童にいじめられていることが分かり、遥琉が似たようなことを遼成と龍成と光希に話したのだ。
「さすが遼、龍の息子だ。奏音の弾よけの彼らも鼻が高いはずだ」
「ありがとう弓削。奏音にご飯食べようって、あとでいいから声をかけてほしい」
「分かった」
光希はあえて奏音に声を掛けず、未知と七海のもとに静かに戻った。
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