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ぱぱたん最強説は健在

「柚原さん、蜂谷さん助けていただいてありがとうございます」 奏音はふたりに深々と頭を下げた。莉子も兄の真似をしてぺこっと頭を下げた。 「礼はいい。客人を守るのは俺らの役目だ」 「ちっちぇ子はやっぱりめんげぇな」 なんとも愛くるしい仕草に屈強の男たちの表情が緩みっぱなしになった。 「悠仁の情報が宇賀神組の渋谷から提供された。手口は十年前と全く同じだ。いかにも胡散臭い自己啓発セミナーを県内のホテルや旅館で開いて乱痴気騒ぎをして、荒稼ぎしている。そっちに向かったから気を付けろってな」 「あのひとは催眠商法で多くのお年寄りを騙し大金を巻き上げました。こつこつ貯めた老後の生活費を奪われ、なかには自分を責めて自殺したひともいたと人伝に聞きました。同じ悲劇をもう二度と繰り返してはいけない。そのためにはあのひとを捕まえるのが一番手っ取り早いんだけど、事件が起こらないと警察は動けない。それが歯痒くて……莉子、お兄ちゃんっておいで」 奏音が両手を差し出した。すると莉子はぶんぶんと顔を横に振り柚原の首にむぎゅーと抱きついた。 「相変わらずぱぱたんはモテモテですね」 「またままたんに焼きもちを妬かれる。困ったな。でもままたんに構ってもらえるからぱぱたんは嬉しいんだ。莉子、お腹空いただろう。お家に帰ってご飯にしような」 「うん」 莉子の頭をぽんぽんと撫でると、しずとさくらにも帰るぞと声を掛け一緒に歩きはじめた。

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