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さくらの夢
「パトカーと救急車のサイレンの音、鳴りっぱなしだね。しずくとさくらと莉子、大丈夫かな」
「最強の橘夫婦が付いているんだ。大丈夫だよ。ママが寝るまでずっとそばにいるから安心して眠っていいよ」
「ありがとう奏音」
ぎゅっと息子の胸元にしがみつくとものの十分と経過しないうちに光希はすとんと眠りについた。
「寝顔マジで可愛い」
奏音は大好きなママの無防備であどけない寝顔を堪能してからようやく眠りについた。
「ママもお兄ちゃんも眠ったみたいですよ。しずくちゃん、さくらちゃんそろそろ寝ましょうか?」
莉子の夜泣きと鳴りっぱなしのサイレンの音にすっかり目が覚めてしまったしずくとさくら。布団のなかで奏音の愚痴や、好きなひとの話しでおおいに盛り上がっていた。そんなふたりを橘と柚原は怒るのではなく優しく見守っていた。
「あり得ない話しだけど、もしもの話しだよ。もしね目が見えるようになったら、真っ先にパパたちとママたちの顔を見たい。自分の顔はいつでも見れるでしょう。血の繋がらない私を育ててくれた三人の顔の絵を描いてプレゼントするの」
「私もパパたちの絵を描きたい。一緒にありがとうしよう」
「うん」
しずくとさくらは目を見合わせると満足そうに笑んだ。
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