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10年前の事件の真の黒幕
光希や子どもたちが心配で、メールや時間を見るために、携帯を何度もチェックする龍成。小言でなにやらぶつぶつと言っていた。
十年前、西岡兄弟と岩谷兄弟を使い卯月遥琉の妻、未知暗殺を企てた人物がいる。
だがそれは楮山が、結婚してすっかり覇気を失った腑抜けの昼行灯野郎と散々バカにしていた柚原によって三度、ことごとく阻止された。柚原の腕は落ちるところか、以前よりもまして上がっていた。
利き手である右手を包帯で巻いていた弓削が、左手でも銃を撃てるようにひそかに訓練をしていたということと、ウーは武器を持たなくても素手でも戦えるということが大きな誤算だった。相手を甘く見すぎた。
その黒幕が十年経て奏音たちの前に現れたのだ。
「龍成、なるようにしかならない」
「湯山がいるということは、あの女狐が満を持して活動を再開させたということだ。テウと悠仁と手を組み、今度こそ何をしでかすか分からない。兄貴、光希と子どもたちを迎えに福島に行く」
「別に迎えに行かなくても明日には帰ってくる。それに兄貴たちがいるんだ。心配ない」
龍成は、遼成がなにを言っても行くと一度決めたら行く男だ。それが分かるから、最後は遼成が一歩譲り、龍成を見送った。
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