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復讐の鬼女

「元刑事の勘というのでしょうか。鞠家さんも蜂谷さんも伊澤さんも胡散臭い。なにか裏があるじゃないかと疑い、探りを入れたりしたのですが、用心深くなかなか尻尾を出そうとはしませんでした」 「すぐ馬脚をあらわすだろう。俺たちも連中を甘く見ていたのかも知れないな」 そこへ遥琉と奏音が組事務所から帰ってきた。 「相手が一枚も二枚も上手だった」 「そうだな。今回ばかりはまんまと騙された」 遥琉が茜色に染まりはじめた空を見上げた。 「もう夕方か。一日過ぎるのがあっという間だな。そろそろ家のなかに入れ。橘、今日の晩飯はなんだ?」 「さぁあなんでしょうね」 今日の夕御飯は自分たちで作るからいいよ。一太と奏音たち、大きな子どもたちが手を挙げた。 一太たちと台所に向かおうとした奏音が何かを思い出したのか急に立ち止まった。 「ママ、大変なことをしでかしたかも知れない」 その表情がみるみるうちに青ざめていった。 「よほどやましいことがなければ挑発に乗ってこない。相手も暇じゃないはずだ。ほっとけ。気にする必要はない」 遥琉が奏音の肩をぽんぽんと軽く叩いた。

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