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復讐の鬼女

「あれからもう十年か。早いものだな」 遥琉がリビングに置いてある紫壇色のミニサイズの仏壇を感慨深そうに見つめた。そこには分骨された小さな骨壺がふたつ並んでいた。 「まゆこは我が子さえも利用し、用済みになれば躊躇せず殺した。まゆこは血も涙もない冷酷な女だ。あやみと花がかわいそうだ。不憫でならないよ。ふたりがまゆこに何をしたっていうんだ。なにもしてないだろう。それなのになんで殺されなきゃならねぇんだ。たった十六年しか生きれなかったふたりが憐れだよ。好きな男だっていただろうに。もっと青春を謳歌させてやりたかった」 遥琉が鼻を啜りながら、悔しさを滲ませた。 「年のせいか涙脆くなってな。あやまったな」 「父さん」 一太からティッシュを渡され、遥琉は涙を拭った。 「たとえまゆこを逮捕出来たとしてもふたりが生き返る訳じゃない。遥琉、あやみたちにを取り上げた闇医者は?逮捕されたの?」 「証拠不十分で不起訴だ。ソイツは准看護師の資格しか持っていねぇのに、ドヤ街で診療所を開業し医療行為を行っていた。なかなかの美人みたいで患者からの評判は良かったみたいだが、ヤクザのイロとか、売人とか黒い噂は絶えずあったらしい。俺は未知しか眼中にないから、美人だと言われて写真を見せてもらったがたいしたことはなかったぞ。未知の方がその何倍も、いや、百倍可愛い」 「遥琉は未知ラブだもんね。そのひとが今回の件に一枚噛んでいるとかないよね?あるわけないか」 突拍子もないことを言い出した光希に、 「いや、ないとは限らない。その可能性も十分にあり得る」 遥琉の顔色が変わった。

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