そのとき、ガシャーンとコップが派手に割れる音がした。 「さくら大丈夫？」 「ママごめんなさい。片付けようとしたら、コップか皿、どっちか割っちゃった」 「いいよ、そんなの。怪我はない？」 光希が椅子から立ち上がるよりも先に動いたのは奏音と一太と遥香だった。 「莉子ちゃんはハルお姉ちゃんっておいで」 割れたガラスで怪我をしたら大変と、真っ先に莉子を抱き上げると安全な場所に移動させた。 「しずくと陽葵ちゃんは動かないで。さくらも動いちゃダメだ。足元にガラスが散らばっているから。お兄ちゃんっておいで」 奏音がさくらの脇の下に手を差し入れそのまま抱き上げようとしたら、奏音の腕よりも長い腕が背後からすっと伸びてきた。 ギクッとして振り返ると、そこに立っていたのはフーだった。鳥飼と奈梛も一緒だった。 片手でさくらをひょいっと軽々と抱き上げると、一太が散らばったガラスの破片を手早く片付けはじめた。 「お姉ちゃんたち足上げて」 心望がてきぱきと掃除機をかけはじめた。 子どもたちの見事な連携プレーを遥琉たちは嬉しそうに目を細めて眺めていた。