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復讐の鬼女
まゆこは、赤ちゃんの体のぷにぷに感がたまらなく嫌だった。
赤ん坊の柔らかい肌を見たり、触れたりしたときに、自分自身が乳幼児に受けた暴力的な経験が連想されてしまうのだろう。
まゆこもまた薬物依存だった両親から虐待を受けていた。だからといって実の娘を虐待していいとは限らない。
躾と暴力は違う。
子どもを愛せないまゆこはふたりの娘を手に掛けておきながら、罪を昇龍会や菱沼組に擦り付け、悲劇の母親を演じ、奈梛を取り戻すためあの手この手を使ったが、奈梛が選んだのは母親ではなくりんりんとフーだった。奈梛がふたりの頬っぺにキスをしてもふたりは怒らない。母親がしてくれなかったハグもしてくれる。頭は叩かれるためにあるんじゃない。いい子、いい子とうんと誉めて撫でるためにあるんだ。
そう教えてくれたのもりんりんとフーだった。
さくらちゃんに手紙を書きたい。
奈梛はお小遣いとお年玉を使わずこつこつと貯めて点字の本と点訳機を買った。
一太たちも同じようにお小遣いを貯め、点字の本と点訳機を購入し、奈梛同様、さくらとしずくと手紙のやり取りを続けている。
組の垣根を越えてみんな仲良しだ。
これもすべて未知のお掛けだ。
「なんだか未知の声が聞きたくなってきた」
「俺も。龍もでしょう?」
「あぁ、聞きたい」
遥琉がさっそく未知に電話を掛けた。
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