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復讐の鬼女

田園風景が広がる田舎で奈梛を伸び伸びと育てたい。鳥飼とフー夫夫は、郊外の田んぼが広がるのどかな地区で、元商店だった一戸建を借りて、親子三人仲良く暮らしている。卯月家が普段からお世話になっている石井農園の石井さんの奥さんの実家が二十年近くずっと空き家になっていて、生活が出来るようにリフォームした。 卯月の家から鳥飼の家まで車で四十分は掛かる。小学校が違うから奈梛はまだまゆこに会っていない。 「未知か?龍成が助っ人に来てくれたんだ。少し話せるか?」 ーうん。弓削さんに了解をもらうから待っててー 「いちいち了解をもらう必要はないだろう」 ー盗聴されているかも知れないからってー 「そうか。分かった。じゃあ、このまま待ってるから」 ーうんー 「あ、未知。くれぐれも走るなよ。躓いて転んだら大変だからな」 ーうん。分かったー 「あと、そうだ未知」 愛妻家の遥琉の心配症は元々だが、未知の妊娠が分かってからは、それがエスカレートしている。 「遥琉、心配なのは分かるけど、未知を行かせてあげて」 光希がクスクスと笑い出した。それから数分後。未知と光希と鳥飼。三人でママ友トークがはじまった。話しのメインは奈梛のことだ。出来ることなら奈梛とまゆこを会わせたくない。でも奈梛だって本当は母親に会いたいはず。鳥飼は複雑な心境をふたりに打ち明けた。

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