130 / 173

復讐の鬼女

その頃二階では恋バナで大いに盛り上がっていた。 「しずくちゃんは好きな人いるの?」 「え?」 奈梛に唐突に聞かれ顔を真っ赤にするしずく。 「しずくはね」 「さくらストップ!」 慌てふためくしずくの姿を見た奈梛はぴんときた。 「もしかして……優真くん⁉」 「違うよ。絶対に違う」 「じゃあ、なんで汗かいているの?」 「それは、その……」 言葉に詰まったしずくは布団を頭から被ってしまった。 「ほらやっぱり図星だった」 奈梛はくすくすと笑いながら、今度はさくらを見た。 「ん?もしかして見られてる?視線を感じるんだけど、気のせいじゃないよね?」 澄んだ目でじっと見つめ返した。 「さくらちゃんは一太お兄ちゃんが好きなんだよね」 さくらの濡れた髪をタオルで拭きながら遥香がぼそっと呟いた。 「へぇ~~そうなんだ」 「初知り」 心望と陽葵が身を乗り出した。 「でもお兄ちゃんは……ね?」 「うん」 ふたりは顔を見合わせるとクスクスと笑い出した。 「え?何?もしかして好きなひといるとか?」 「一太お兄ちゃんもあぁ見えてママっ子なんだよ。ママLOVEだから。付き合っても、さくら優先じゃなくて、絶対ママ優先になる」 「うちのお兄ちゃんと一緒だね」 「だからやめといたほうがいいって。もっとイケメンいるじゃん」 夜遅くまで二階は明るい笑い声に溢れていた。

ともだちにシェアしよう!