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復讐の鬼女

「まゆこは奈梛に近付くために待ち伏せしていたんじゃないのか?」 「今さら母親と名乗ってどうする?」 「まゆこは奈梛が何も知らないただの子どもと甘くみている。俺やら未知のせいで泣く泣く引き離された。本当は一緒に暮らしたかった。あやみと花を殺したのは奈梛を人質にされ命令に背いたら自分も奈梛も殺される。どうしようもなかった。悪いのは菱沼組だ。まゆこは情に訴えて奈梛を懐柔しようと企ているんだろう。奈梛はもう子どもじゃない。りんりんやフーや俺や睦からこの十年何があったのか、なぜ姉ふたりと父親が亡くなり自分は生きているのか、すべて聞いて知っている。自分は鳥飼奈梛。両親は鳥飼莉音とフー。たとえ母親が現れても私は育ててくれた両親のもとを離れる気はない。そうはっきり言った」 「たいしたもんだ」 フーから連絡をもらい、遥琉は龍成とそんな会話を交わしていた。 「まゆこが強行手段に出ることをあらかじめ予想し、隣近所の商店や神社に事情を説明し若いのを潜り込ませてある。子どもは地域の宝。高齢化が進み子どもがあまりいない地区だからこそ、一丸となって協力してくれる。これほど心強いものはない。感謝してもしきれないよ」

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