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やっぱり、ママが大好き
「コーデュロイ風の長袖ワンピースだよ。色はピンクだけどそんな派手過ぎず、落ち着いたピンクだよ。肌触りもほら、この通り柔らかだし。袖も裾もふわっとしてすっごく可愛いよ」
優しくて面倒みのいい遥香。それでいて姉御肌。さくらもしずくも遥香が大好きだ。姉のように慕っている。
「このままこれを着て帰ったら?」
「え?」
「大丈夫だよ。ふたりともすごく似合っているから。ママもパパもさくらとしずくがすっごく可愛くてびっくりするよ。ふたりが着ていた服は洗濯して、お菓子をぎゅうぎゅうに詰めて送るから」
「ありがとう遥香お姉ちゃん」
目を見合わせにっこりと微笑むふたり。
やっぱり双子。
ブルーかピンクかで散々悩んだ末、しずくが選んだのはやはりさくらと同じ色だった。
買い物を終えた遥香は、ふたりをなぜか二階に連れていった。
「見れば分かるんだけど、一階から三階までが吹き抜けになってるの。一階の広場が休憩スぺースになっていて、上から丸見えなの。うちのパパもここからママの写真を撮りまくっていたんだよ。未知は可愛いを何回も連呼して。はじめ気付かなかったママもさすがに気付いてね、顔を真っ赤にしていたんだよ。うちのパパとさくらとしずくのパパ、兄弟でしょう?絶対に同じことをしていると思って、それでふたりを連れてきたの」
しずくはすぐに龍成と奏音の姿を見付けた。ふたりは光希の写真をスマホで撮りまくっていた。
「パパ、高所恐怖症なのに怖くないのかな?」
「そこは、ほら、愛の力じゃない?」
「なるほど」
ぱちんとしずくが両手を叩いた。
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