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コウジと達治
「焼き菓子とドリップコーヒーがセットになったギフトなんかあるかな?」
「あるのはあるけど荷物にならない?」
「リュックサックに入れれば大丈夫」
さくらが背負っていたピンクのリュックサックを肩から下ろす遥香。
「お菓子とパンしか入っていないから軽いよ」
「うん、確かにそうだね。さくらは莉子ちゃんのおやつ担当なんだね」
「私もしずくも、ママ一人で大変だから手伝えることは何でも手伝おうと思っているんだ」
「ふたりとも偉いね」
遥香に褒められ、さくらとしずくは照れて真っ赤になった。
しずくと遥香はショーケースの中を覗いた。
「このチョコクッキー美味しそう」
「じゃあ、これにする?」
遥香が店員に注文していると、さくらが隣に来て、
「ホットコーヒーを四つお願いします。袋を二つに分けてください」
追加で注文した。
「さくら、危ないから持つよ」
「ありがとうしずく」
さくらとしずくが真っ直ぐ向かったのは父と兄を警備する市原と東のところだった。
「どうぞ」
思いがけない差し入れに驚くふたり。
「さくらさん、しずくさんありがとうございます」
「私たちにまで気を遣っていただきありがとうございます」
深々と頭を下げた。
「あの、コウジさんたちは?」
「後ろにある、輸入雑貨と食品を扱う店にいます」
「行ってみる?」
「冷めたら美味しくないし」
二人はアイコンタクトをとると、遥香と一緒に市原と東に教えてもらった店に向かった。
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