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コウジと達治

「譲治さん、ふたりの仲を認めてください。お願いします」 奏音が譲治に頭を下げると、 「私たちからもお願いします」 しずくとさくらも一緒に頭を下げた。 「奏音さん、しずくさん、さくらさん、オヤジに怒られます。頭を上げてください」 達治とコウジは慌てた。 ふたりの額からは汗が吹き出していた。 すっかりふて腐れて押し黙ってしまった譲治。見かねた遥香が声を掛けると、 「笑顔でふたりを見送る。そう決めてはいた。でも、やっぱり、認める訳にはいかない」 頑固さは父親譲りだ。 でもこれくらいで引き下がる遥香ではない。 「譲治、この際だから弟離れしたら?譲治だって、ずーと、ずーと、待たせている人がいるでしょう?」 「遥香さん、それ以上は禁句です」 あれほど頑な態度を崩さなかった譲治が、急にそわそわしはじめた。 「分かった認める。コウジ、お前に達治をくれてやる。煮るなり焼くなり好きにしろ」 「はい。美味しく頂きます。というか、もう美味しく頂いてますけど」 「コ、コウジ」 顔を真っ赤にし慌てる達治の頬っぺにコウジが愉しげに笑いながら軽くキスをすると、 「コーヒーをこぼすだろう。それに、みんな見てる」 「晴れて兄公認の仲になれたんだんだ。隠す必要はないだろう」 人目を憚らずいちゃつきはじめた。 譲治はぷいとそっぽを向くと「元気でいろよ」逃げるようにそそくさと歩き出した。

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