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コウジと達治
「遥香さん、兄貴が待たせているひとってもしかして、ヤスさんですか?」
「さぁ~誰だろうね。ヤスは四季さんラブだよ。和真さんに睨まれながらも朝宮家に居候して主夫してるよ。だから、ほとんど事務所に顔を出さないよ」
「じゃあ、誰なんだろう。兄貴のタイプの男は……いや、男とも限らないか。兄貴はあぁ見えて面食いだからな」
真剣な顔でうんうん悩む達治。
当然ながらコウジは面白くない。
「痛い!足を踏むことないだろう」
「ふん」
ぷいっとそっぽを向いた。
「達治、彼氏の前で他の男のことを考えるな。焼きもちを妬かれるのも当然だぞ。俺も人のことを言えないがな」
龍成が苦笑いを浮かべた。
「そろそろママのところに戻るか?遥香、しずくとさくらの服を選んでくれてありがとう。友だちが待っているんだろう」
「うん。三階にあるファーストフードのお店にいる」
「弾よけがいなくて大丈夫か?達治、コウジ、痴話喧嘩はあとにして遥香を送ってやれ」
さっきまでぷんすかと怒っていたコウジ。達治と一緒に大きな声で返事すると、すぐに表情を引き締めた。
「そう、良かった」
龍成から話しを聞いた光希はほっとし胸を撫で下ろした。
「組事務所でいちゃつかないように釘をささないとな」
「それに新居 も準備してあげないと。誰かさんみたく他の若い衆にしょっちゅう焼きもちを妬かれても困るから」
「そうだな」
龍成と光希の会話を聞いていたナオがぷぷっと思い出し笑いをした。
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