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拗らせた片想いにケリをつけるとき

「見送らなくていいんですか?」 「は、遥香さん」 新幹線の改札口の前に立ち電光掲示板を見ていた譲治は遥香に声を掛けられぎくっとした。 「じゃなくて、引き留めなくていいですか?次にいつ会えるか分かりませんよ」 「達治は俺がいなくてもコウジがいます」 「譲治、パパの目は節穴じゃないよ。龍おじさんと光希さんだって気付いてるよ。譲治が好きなひとのこと」 「遥香さん、言ってる意味が分かりませんが……」 そう言いながら譲治は何気なく後ろ髪を撫でた。 「惚けないの。バレバレだよ。譲治は嘘をつくとき後ろ髪をそうやって撫でるよね」 「え?」 譲治はぎくっとして、髪から手を離した。 「ほら、早く行かないと間に合わないよ」 遥香は譲治の手に入場券を握らせると、背中を押した。 エスカレーターを一気に駆け上がりホームに向かう譲治。 息を切らしながらあたりをキョロキョロと見回した。やがて新聞を持つひとりの長身の男を捉えた。 彫りの深い顔つきは俳優に見まがうほど派手に整っていて、がっしりとした体格をしていた。龍成と並んで立ち談笑していた。

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