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奈梛はいらない子じゃない
「りんりんママ、光希さん大変」
奈梛が急にそわそわしはじめた。
「ぎゅってしたら、未知さんのお腹の赤ちゃんが潰れちゃうよ」
それを聞いた鳥飼と光希は、驚いたように目を見開いたのち、ぷぷっと笑い出した。
「オヤジと優と姐さんの赤ん坊だ。そんなに柔じゃないよ」
「そうだよ。黒竜と教団を解散寸前まで追い詰めて、あの紫竜に最大の好敵手と言わしめた最強パパふたりのDNAを受け継いでいるだよ。ちょっとやそっとじゃ潰れないよ。奈梛は本当に優しいね」
褒められて奈梛は恥ずかしそうに頬を染めた。
「ママだ~~」
未知が帰ってくるとは一言も聞いていなかった子どもたち。思わぬサプライズに陽葵が泣き出し、心望も泣き出した。
「びっくりさせちゃってごめんね」
未知はベットからゆっくり下りると陽葵と心望を抱き締めようとしたけど、その前に遥琉と優に抱き締められた。
「パパたちズルい‼」
「いっつもふたりでママを独占してる癖に!」
「たまには貸してよ!」
「私たちのママなんだよ!」
頬っぺをこれでもかと膨らませブーイングした。
「大人げない」
「空気読まなきゃ」
「折角のいい雰囲気だったのに」
一太と晴と未来がため息をつき、苦笑いを浮かべた。
「困ったパパたちだね」
「父さんたちの方が心望と陽葵より子供じゃん」
遥香と太惺もやれやれとため息をついた。
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