一階に下りようとしたらなぜかエレベーターがメンテナンス中だった。 ｢弓削、おかしいと思わないか？」 ｢優、お前もそう思ったか」 ｢この奥にもう一基エレベーターがある。そこから下に移動しよう」 スーツ姿の弓削と白衣姿の優が先陣を切って歩いた。 ｢ママ大丈夫？」 ｢顔色悪いよ」 未知と手を繋いでいた心望と陽葵が心配そうに顔を見上げた。 ｢うん、大丈夫だよ。ごめんね、心配を掛けて」 子どもたちを不安な気持ちにさせないように笑顔で答えた。 ｢そうやってすぐ無理するんだから。ひとりの体じゃないんだよ」 未知親子にぴたりと寄り添い歩く光希が未知に声を掛けた。 ｢帰ったら横になります」 ｢それがいい。ただし無事に帰れたなら、だけどね」 ｢無事に帰れたなら？光希さんどう意味ですか？」 未知が顔を上げ、光希の視線の先を見ると、エレベーターが開いて何人もの男たちが列をなしてぞろぞろと下りてきた。 ｢連中は恐らくまゆこの信者たちだ」 ｢みんな俺たちから離れるなよ」 優と弓削の目付きがガラリと変わった。