16 / 24
後日談 第2話
「亜季くん」
優しく囁かれるとぞくりとして啓太の吐息が当たっている部分に熱が集まっていくのがわかった。
「け、けいちゃ……あっ」
不意に耳朶を噛まれ声が出たのが恥ずかしくて手のひらで口を押さえると今度はぬるりとした舌の感触と唾液の音が耳に直接響き、ますます恥ずかしくなってしまう。
啓太の動きに合わせて身体がびくびくして次第に中心が熱を持ってくる。
啓太は膨らみはじめたその高ぶりを、衣服のうえからやわらかく、やわらかく、何度も撫でさすってきた。それはあっという間に硬くなって薄いスウェット生地を持ち上げる。
それを軽く握ると啓太はくすりと笑いながら大きな手のひらでこねるにして、指のさきで先端近くをくすぐりながら、根元の膨らみを手のひらのふくらみで押し揉むようにいやらしく撫でていく。
「あ、あっ、けぃ……ちゃん」
小さく喘ぐと啓太は目を細め、うっかり涙目になる俺をあやすように中心部を触る手とは別の手でやさしく髪と頬を撫でていた。
「亜季くん、まだ触ってるだけなのに泣いちゃいそうだね」
「だ、だけ、って……」
啓太は顔を覗き込んでくるとそっと目元にキスを落とした。
「かわいい」
自分には全くもって似つかない言葉だと思っていたのに、昨晩から幾度となく言われた言葉に身体が反応してしまい、焦ってかぶりを振った。
啓太が覆いかぶさってくると、反射的に逃げ腰になる身体を抱きしめなおされて啓太の指が腹から胸へとのぼってきた。鼓動がいっそう早くなる胸をさする指先がときどき突起に引っかかるたびに身体がしなる。
「お店、本当に閉めちゃおうかな」
「な、何……言って、んの」
「だって亜季くんが可愛い。このまま抱いて、もっとぐちゃぐちゃにしたい」
「だ、だめ」
搾り出すように言ったものの、足の間にあるものは信じられないくらいに硬くなっているし、身体中が汗ばんでいる。
そんな時、店舗側から声が掛かった。店員がいないからお客さんが声を掛けているのだ。
「け、ちゃん……お客、さん」
「今日はもうお店閉めるよ」
啓太は俺の身体を触ることはやめず、悪戯っぽく笑った。
「だ、めだって!」
「だめ? なんで?」
「だめなもんは、だめ!」
首を傾げる啓太を見ながら、目をぎゅっと瞑り勢いよくかぶりを振ると俺の身体から啓太の手が離れると同時に啓太の笑い声が聞こえた。
「亜季くんは手厳しいなぁ」
「手厳しいって……」
そう言うとクスッと笑い、軽く啄むようにキスをして服を整える。
「嘘だよ。ごめんね、仕事に戻るね」
少し身体を起こして複雑な表情で啓太を見上げているとまた啓太の顔が近づきそっと耳元で囁くように言った。
「でも、亜季くんをぐちゃぐちゃにしたいのは本当だからね。じゃあ、亜季くんはピザ選びながら待ってて」
そっと頭を撫でると啓太は店舗の方へと向かっていった。そして接客する声が聞こえてくると、全身の力が抜けてしまう。
「……ピザ、選べっかな」
それよりまずはこの高ぶりがおさまるまで、その場を動くとはできなかった。
ともだちにシェアしよう!