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後日談 第3話
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ガチャっとドアが閉まる音が聞こえて目が覚めた。あのあと、リビングのソファでピザを選んでいたらいつの間にか寝てしまっていたみたいだ。
今日は一日中寝ている気がして、目を擦っていると啓太がリビングのドアを開ける。
「ただいま、亜季くん」
「お、おかえり」
いつもは学校帰りに俺がただいまって言う方なのに今日はおかえりって言って思わず照れてしまった。
そんな様子を見て啓太は笑い、昼寝する前に選んでいたピザを頼んで二人で食べた。
お腹がいっぱいになったところで順番に風呂に入って……と、そこまできてふと啓太の今朝の言葉が思い出さられる。
『今夜も僕の為に泣いてね』
はっとした瞬間、髪の毛を拭きながら啓太がリビングに戻ってきた。
「け、け、けいちゃん!」
「どうしたの? 何か飲む?」
「え、えっと……」
口籠もっている間に、啓太が麦茶をグラスに注いでくれた。そして自分の分も注ぎ飲み干すと、またタオルで髪を乾かしながらソファに座る。
(今夜も泊まるってことはやっぱり、今日も……するよな)
意識しだしたら急にソワソワしてしまって、落ち着かないから注いでもらった麦茶を一気に飲み干した。
「亜季くん?」
「ひゃいっ!」
それなのに落ち着くどころか声が裏返ってかつ噛んでしまって恥ずかしくて一気に顔が熱くなって俯いてしまう。
すると啓太が近くに座り直して顔を覗き込んだ。
「そんなに意識されちゃうと困っちゃうんだけど」
「こ、困る?」
「うん。すごく困る。可愛くて我慢できなくなったらどうしようかなって」
「……我慢、してるの?」
「まぁ、してるよ?」
「……なんで?」
恐る恐る聞き返して顔を上げれば、啓太は眉を寄せて笑うと頬に口付けてきた。
「昨日の今日だから、身体が辛いでしょう?」
「え、あ……えっと……」
確かにまだ身体は筋肉痛みたいな感じで辛いけど、気遣ってもらえたことへの嬉しさと同時にちょっとだけがっかりした気持ちもあって目が合えば啓太は困ったように笑った。
「そんな顔しないで」
啓太の困った顔は俺もどうしていいかわからなくなるけど、それでもやっぱり自分の中でがっかりした気持ちの方が大きくなって俯きながらゆっくりと口を開いた。
「で、でも……啓ちゃん、言った。……今夜も……って」
啓太は高い鼻を俺の鼻にこすりつけじっと覗き込む。
「期待してた?」
「…………」
何も答えられずにいると啓太は俺の手を取り撫でるようにしたあと、指と指を絡めるようにして柔らかく握る。
「期待、してくれてたのかな?」
もう一度問われて、こくんと頷いた。
「……期待、した」
呟くように言うと、そっと唇を吸われ何度もなんども啄むようなキスが降ってくる。しばらくしてキスをやめた啓太が優しく微笑んだ。
「期待してたんだ?」
その目は優しく細まっているけど、目の奥にまるで獲物を狙っているかのような肉食獣の鋭さのようなものを感じた瞬間、啓太が耳元で囁いた。
「───…後悔しても遅いからね」
その声色は優しく響いたものの、身体を担がれて次の瞬間には視界がぐるりと周りベットに押し倒されていた。
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