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第23話※

 二人目は大学のゼミの先輩だった。飲み会の帰りにホテルに誘われたのだ。  この男は悠希がゼミに入ってから、毎日のように悠希に迫ってきた。俺はバイセクシャルなんだ。今まで付き合ったどの女や男よりもおまえは特別だ、と悠希の耳元で囁いた。  いつも軽口を叩く男だったから、最初は悠希も相手にしなかった。だが、毎日、呪文のように唱えられる愛の言葉に悠希は捕らえられてしまった。一度、体を許してしまうと悠希のほうが彼に本気になった。  悠希の体は彼によって開花したと言ってもいいだろう。彼は確かに優しく悠希を抱いてくれたし、二人の関係も人目を憚る様子もなかった。あのハッテン場のバーだって彼が常連だったのだ。  でも、やはり別れは一方的で唐突だった。  先に大学を卒業した彼は仕事が忙がしいと言って悠希に会わなくなった。それでも一年は付き合いが続いた。とはいえ、彼が気紛れに悠希の予定など関係なしに呼び出してセックスをするだけだった。  そして、悠希が大学四年になったばかりの時に、 「付き合い始めた彼女が、おまえと俺が会うのを嫌がっているから別れよう」 と、告げられてそれっきりになった。風の噂で彼は彼女を連れて、海外へと赴任したそうだ。 「おまえもさ、気持ち良かったんだからいいだろう? それにやっぱり男同士だと、周りがいろいろとな」  別れ際、笑いながら言った彼の言葉に悠希は酷く傷つけられた。  スポーツ感覚――。  そうだ。自分は彼らにとってレスリングや柔道で組み合う相手と一緒だったのだ。もしかしたら、そこら辺に転がっていたボールと同じ扱いだったのかも知れない。  いや、実際はもっと下だ。きっと、本当のところは彼らの性欲を満たすためだけの……。  暗い気持ちに沈んでいくところを、昂ぶりに感じる刺激が悠希の意識を引き揚げた。 「あっ! うっ、……ぁ」  そそり勃つその先に、ぬるりと生暖かなものが這わされる。それは悠希の花茎の先から滲みでた透明な雫を舐め取ると、小さな鈴口を丹念に拭っていった。  舐められている。各務課長に……。  そう思った途端、自分の昂ぶりが一回り大きくなるのが分かった。各務の舌は悠希の硬い芯の先からゆっくりと幹を下り、張り詰めた袋に柔らかく吸い付くとまた先端と上がっていった。

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