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第40話

*****  空港からはチャーターした大型の観光バスで道内を巡る。最初の観光地へ向けて凍った高速道路を、観光バスはかなりのスピードで走って行く。 「スゲエ、真っ白。どこもかしこも雪だらけ」  隣の席の彰吾は、ここでも飛行機の中と同じようにバスの大きな窓に張りついて、流れる外の風景を眺めていた。  対面からきたトラックが雪を巻き上げながらすれ違う。それすらも彰吾や他の同伴した子供達には面白いようで、きゃあきゃあと歓声が上がった。  先ほど着いた空港で、バスに乗り込んだ彰吾は、「悠希さん、ここに座ろうよ」と、当たり前のように座席を二つ確保した。幹事として人数や荷物の積み込みの確認をして、最後にバスに乗り込んだ時だった。見ると通路を挟んで反対側には、やはり各務が苦笑いをしながら一人で座っていた。 (気に入られたのかな)  悠希は苦笑している各務を横目に、彰吾の隣に座ることになったのだ。  最初の観光地、支笏湖に着いて、初めて経験するのではないかと言う寒さの中でバスを降りる。この大きな湖の畔では雪ではなく、湖の水をスプリンクラーで吹き付けて凍らせた大小さまざまな氷のオブジェを展示した、氷涛まつりが開催されていた。  小さな子供達は氷で出来た滑り台や迷路に夢中になり、大人は透明なオブジェが作り出す美しい光景を見つつ寒さに震えながらも散策した。  さっきまで悠希の横を歩いていた彰吾は、お姉さま方に呼ばれてしぶしぶ彼女達のほうへ合流した。 「すまないな」  氷像を眺めていると各務が近づいて来て謝られる。 「何だか、えらくおまえを気に入ったようだ。まったく、もう少し大人しくしていればいいものを」 「いえ、俺も楽しいですから。今夜は夜食にラーメンを食べに行きたいそうですよ。美味しい店があるようですね」 「ラーメン? 今夜はカニ尽くしの宴会なのにか。あのちっこい体にどれだけカロリーを詰め込めばいいんだ?」 「あの位の男の子なら食べますよ。溜め込んだカロリーで大きくなるんですから」  まあ、そうだな、と各務は上着のポケットから煙草を取り出そうとしたが、それはやめて氷涛まつりの会場とは離れた湖のほうへ歩き始めた。

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