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第60話※
しゅ、と何かが擦れる音がして急に視界が暗くなる。ざらりとした肌触りもので顔を覆われたのが分かった。悠希は視界を塞いだものに咄嗟に手を伸ばそうとしたが、浴衣の袖が何かに引っ掛かって腕を動かすことが出来ない。
ぎゅっと後頭部が締め付けられると、凪いでいた悠希の胸にまた不安がどんどんと沸き上がってきた。
使い古された浴衣の細い帯は、きっちりと悠希の瞼を覆っている。暗い部屋にいても、少しの灯りがあれば安心出来る。だが、今の悠希の目前は暗闇だけで、各務が立てる布地が擦れる音と自分の呼吸音だけが大きく耳についた。
各務は悠希の視界を塞いだ長い帯の残りで浴衣の袖の上から悠希の両腕を縛った。自由に身動きが取れなくなった悠希が口を開きかけると、
「心配するな」
各務の声が、瞼と一緒に覆われた耳に籠りながらもはっきりと届いた。びくんっ、と体が震えて、
「あ……」
「声は我慢しろ。彰吾が起き出す」
くちゅ。
各務が悠希の花茎をまた握り込む。くちゅくちゅと音がするほどに揉まれて、悠希の花茎は見えなくても分かるほど熱く昂っていった。
「んぁっ、……あっ」
「黙って」
各務が悠希の首筋を舐め下ろすと、ちゅう、と襟足にきつく吸い痕を残す。左の乳首に触れられて、自分の昂りを苛む手が右手なのだと遠くのほうで理解した。
激しさを増す各務の手の動きに悠希は唇を噛み締めて堪えた。ふーっふーっと鼻で大きく呼吸をして快感に抗っている悠希の姿に各務は、
「そう、良い子だ。ほら、こんなにはち切れそうになって。もうすぐだな」
乳首から離れた左の手が悠希の膨れた下の袋を揉みしだく。同時に花茎も激しく擦られると、痛みと快感が混じりあって悠希は喉を反らした。
「ッあ! ァァ、……くっ」
「静かにしないと気づかれるぞ。それとも、おまえのこの淫らで美しい姿をあいつに見てもらおうか」
どこか愉しげな各務の台詞に悠希は息を飲んだ。
(あの少年に、この姿を……)
ぶわっ、と皮膚の表面に熱波が走った。素肌がざわざわと粟立っていく。駆け巡った熱は悠希の花茎へと集まって蜜をとろとろと溢れさせた。
「急にやる気になったのか? こんなに濡らすなんて本当は誰かに乱れた姿を見られたかったのかな?」
嗤いながらも各務は悠希の花茎を激しく責め立てた。もう、背中で低く嗤う各務のことも、熱が引いて静かに眠る彰吾のことも考える余裕が無い。ひたすらに手が届きそうな自分の頂点に意識が集中した。
「あっ、ぁぁ!」
大きく声を上げそうになった悠希の顎を強引に引き寄せて、各務が唇で悠希の口を塞いだ。
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