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第61話※
「……んんーっ!」
喘ぎは各務に呑み込まれて、悠希は各務の手の中に熱い体液を迸らせた。体を震わせながら熱い白濁を絞り出すと、悠希は各務に寄り掛かって、はあはあと粗い息を調えた。
「たくさん出たな。これなら大丈夫だろう」
各務は片手で悠希の花茎を包んだままで、空いた手で悠希の腕の戒めを解いた。ふらふらと熱に浮かされたままの悠希の肩をとん、と軽く押し出すと、ゆらりと上半身を支えきれずに悠希は布団の上に突っ伏した。
各務は悠希の背中を申し訳程度に隠している浴衣を全て脱がすと、悠希の花茎から手を引き抜いて、その形の整った双丘の間へとその手を進めていった。
「……っ!」
視界を閉ざされたままでは、与えられる刺激が純粋に感じられる。ねっとりとしたものが各務の指を纏って、自分の蕾の周りを撫ででいるのが分かる。
(これは俺がさっき吐き出した……)
自由になった手は各務の行動を止められなかった。それよりも、急いたように体内に入ってきた各務の指の動きを耐えるために、投げ出されていた掛布団をきつく掴んだ。
両手で布団を引き寄せて顔を押し付ける。そうでもしないと高い悦びの声を上げてしまいそうだ。今夜の各務は、いつものように時間を掛けて悠希の蕾を柔らかくはしてくれない。押し入った指は直ぐに快感の源へ到達して、躊躇なく悠希を快楽へと引き揚げていく。
「んっ、ん、ぅ……、ふっ」
苦しい息の中に少しだけ空気を取り込むと、直ぐに布団に顔を埋め込む。声を出すな、という各務の言いつけを悠希は忠実に守った。汗なのか涙なのか、瞼を塞ぐ厚い布地が湿り気をおびてきた。やがて体の中から指が引き抜かれると、各務は悠希の背中に厚い胸板を乗せて、
「……挿れるからな」
吐息混じりの宣言と同時に、悠希の蕾に猛烈な圧迫感が襲ってきた。
「っん! は、……んぅっ」
遠慮なく押し入ってくる各務の太い幹に、悠希の内壁がきしんだ音をたてている。初めての睦み合いから何度か各務を自分の体内に招き入れて、各務の大きさには馴染んできていた。
だが、それはことの始めの準備を入念に行ってからのことで、今夜のように性急に挿入されると、初めて抱かれた時の痛みが悠希を苛んだ。
自分の肌から汗が吹き出ているのが分かる。これ以上は無いほどに布団を握り締めて、さらにそれに噛みつくと悠希は漏れ出す声を封じた。
「ぁ、ぁぁ、っ……ふ」
それでも籠った喘ぎが喉から溢れ落ちてくる。湿った肌を重ねていた各務が上体を悠希の背中から離したようだ。冷たい空気が火照った肌を冷ましていく。
各務は悠希の腰に手を添えて浅く打ち付けながら、
「こんなに部屋は暗いのに、おまえの肌が薄紅に浮き上がって見えるよ。本当に……美しい」
しなやかに反る背骨を確かめるように、各務の武骨な手のひらが皮膚を這っていった。しかし各務の称賛の言葉は、悠希の耳に入る余裕は無かった。
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