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第97話※
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彰吾の告白にショックを受けて言葉を失っている悠希に、鏡越しに薄く嗤いかけた彰吾が耳元で囁いた。
「悠希さん。あの夜から俺はあなたを忘れられなかった」
彰吾の物言いから慇懃な空気が薄れている。
「あの夜のあなたの姿は、確実に俺の心に焼き付いた。同時に、あなたに欲望を吐き出し、あなたに愛されている親父に対して嫌悪と羨望を持った」
ぬるり、と後ろから首筋を舐められた。彰吾の大きな手は悠希の花茎を包み込み、そのくびれた部分を確かめるように指で形を確認すると、小さな蜜の溢路の口を親指の先で、く、と塞いだ。
「ああっ。あ……ん……」
「ここ、こうされると気持ちいいんだろ? それに耳もこうして舐められるの、好きなんだよな?」
低い声に代わって、くちゅくちゅと耳の中にヌメった舌が入り込んでくる。耳朶を吸われ、熱く息をかけられると悠希の下半身がゾクゾクと疼いて思わず腰を揺らしてしまった。
「どうしたの? もしかして俺を誘ってる?」
「ちっ、違う……!」
上ずった声で否定をしても、彰吾は、へえ、と嘲るような頷きを返してくる。
「親父はさ、病床で全部教えてくれたよ。あなたの体のことを全部。胸を愛撫すると甘く喘ぐんだとか、指で前立腺を押しながら勃起したのを舐めてやると涙を流して喜ぶんだとかね。今のここだって、扱きながら鈴口を爪で引っ掻いてもらうのがお気に入りなんだろ?」
かあっ、と恥辱で顔が熱くなった。本当に各務は彰吾に悠希とのセックスの一部始終を語っていたのだろうか。
「悠希さん、親父と別れてから何人と寝た? もともと、親父とも一夜の相手を探していてああなったんだろ? もしかして、今はこの淫らな体を開く特定の相手がいるのかな?」
なぜ、そんなことを言われなくちゃいけないんだ。悠希が黙っていると彰吾は悠希の花茎の先端に指をねじ込もうとした。
「やめて! 痛い!」
「痛い? 嘘だね、こんなにタラタラ先走りを零しているじゃないか」
彰吾が握った手を上下に動かすと、途端ににちゃにちゃと粘着く音が響き始める。
「ねえ、答えて。一体、何人の男を咥え込んだんだ」
ぎゅうっと強く花茎を締め付けられて、悠希は、あっ、と顎を上げた。本当に小さな鈴口に指を差し込まれそうで悠希は、
「いない! 誰とも寝てないっ!」
何とか痛みから逃れようと後ろ手に縛られた上半身を捩って悠希は叫んだ。
「……だと思ったよ。悠希さんは純情だからね」
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