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第124話※

 ぱしゃんっ――。  小さく暴れて足元で水飛沫があがる。湯船に浸かる彰吾に腕を引っ張られて体勢を崩すと、飛沫はより大きく跳ねて縁からあふれでた。 「やだっ、やめろ」 「ああもう、そんなに暴れないの。よく温まらないと眠れないだろ?」 「眠れないんじゃなくて、いつもおまえが寝かせてくれないんじゃないか。大体、俺が入浴中なのにどうして入ってくるんだっ」  浴室のドアの鍵をかけておけば良かったと今更後悔したところで、捕らえられてしまっては遅すぎる。湯の中に座る彰吾は、暴れる悠希を後ろから抱きしめて御満悦のようだ。 「昔は一緒に風呂に入ったのに、今は頑なに拒むんだもんな」 「当たり前だろ。あの旅行の夜のたった一度きりだし、あの頃のおまえはまだ子供だったじゃないか」 「ひどっ。一応、思春期の多感な男子中学生だったのに」  くくっ、と笑いながら彰吾の手は悠希の裸の胸を撫で、濡れた髪から雫が伝ううなじに口づけをする。 「悠希の髪、俺が洗いたかったのにな」 「余計なお世話だ。そもそも俺が頭を洗っている最中を狙って押し入ってきたくせに」 「だって初めから一緒に入るって言ったら、悠希は絶対に嫌だって駄々を捏ねるだろう?」  まるでイヤイヤ期の幼子をあやすような物言いに余計にカチンとくる。それなのに彰吾の指が胸で固くなり始めた突起に触れると小さく吐息が漏れてしまう。 「最近こうして触らせてくれたのは、いつだったっけ。……あ、もう一ヶ月も前になるのか」  うなじを甘噛みして、ぺろりと舐められた。両の乳首は彰吾の指に挟まれ、捏ねられるうちに可憐に膨らんで、悠希は胸から生まれる快感に唇を噛んで堪える。それでも、湯の中で揺らめく茂みの中心はすっかり勃ちあがって、その輪郭を露にしていた。 「あ……、うぁ……」  彰吾の右手が胸から薄い腹を這い悠希の花茎へと辿り着く。握られるのと同時に先端の膨らみと竿との境を確かめるように指先で擦られ、隘路の出口の小さな唇を爪の先でくすぐられると自然と声が溢れた。  悠希の喘ぎに気を良くしたのか、彰吾の手の動きが大胆になる。花茎を優しく上下し始めたかと思うと、左の指先で弄んでいた乳首をきつく摘まんだ。 「はあっ。 あ……いはらっ」 「ダメでしょ? 今は二人だけなんだから、俺のことはなんて呼ぶんだった?」

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