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第126話※

「はあっ。ああ……、ぁ、ぁ」 「気持ち良いですか。ここからだと俺の指を旨そうに呑み込んでいるのが丸見えですよ」 「ぁ……、言う、な……。そんな、こと……」 「おや、恥ずかしいんですか? でももう主任のモノもガチガチですよ。我慢できなくてぽたぽた先走りが落ちている」  彰吾が蕾の奥の指を器用に動かしながら悠希の果実をやんわりと手のひらに包む。 「ここもこんなにはち切れそうになって。俺は本当は早くご期待に添えたいんですけれどね。何たってあなたの部下ですから」  悠希のうなじに彰吾の吐息が微かに届いた。彰吾は張り詰めた嚢を揉むばかりで、トロトロと蜜を溢れさせる花茎には触れてくれない。 「あ……、そこ、いや……だ。もう……」 「藤岡主任は言葉と行動が伴いませんね。口では嫌だと言いながら、体はもっととねだっている。あなたの部下として俺はどちらの言うことを聞けばいいのかな?」  彰吾の指が悠希の膨らみを強く押した。途端に悠希の花茎は大きく震えて、小さな鈴口から精液が噴き出した。 「ああっ――!」 「あれ? 扱いていないのに出したんですか。相当溜まってたんだね」  薄く目を開けると眼下に見える湯の中に、落ちた白濁がゆらゆらと溶け込んでいく。粗い息を繰り返し、熱気で霞んだ視線の先に鈴口からまた白い雫が小さく落ちて、耳に捉えられない水音がした気がした。 「んっ」  彰吾が悠希の体内から指を引き抜く。代わりに、閉じようとしている後蕾の入り口に明らかに指とは異なる質量の塊が添えられる。彰吾が悠希の臀部を掴み、腰を押し込もうとした時だった。 「待って、相原」  その声色に彰吾は自身を埋め込む寸前で動きを止めた。んく、と呼吸を調えながら後ろに振り向いた悠希の表情に彰吾は息を呑んだ。  微かに眉根を寄せた悠希の目じりはほんのりと紅く染まり、その瞳も熱に潤んでいる。小さく開けた唇はふっくらと桜色で艶やかに光っていた。濡れた髪から滴る雫が柔らかな頬を滑り、尖った顎先にとどまっている。  足元から立ち昇る湯気の中、悠希はタイルについていた手を離すと、体の向きを代えて彰吾の首に両腕を廻した。互いの濡れた体がぴたりと重なり、息をする度に皮膚の下の細かな筋肉の動きさえ感じられる。  先に精を放ち、少し軟らかくなった悠希の芯が、黒々とした下生えから反りたつ彰吾の剛直に触れる。悠希は彰吾の耳元に唇を寄せて、こう囁いた。 「ちゃんとおまえの名前を呼びたいから……。早くベッドに連れていって」  鼓膜を通り抜けたその台詞は、彰吾の理性をあっという間に吹き飛ばした。

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