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第127話※
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素肌にまとわりつく互いの水滴をおざなりに拭うと、燻る熱に足元の覚束無い悠希をバスタオルごと抱きかかえて彰吾は浴室を出た。悠希は、まだ体が濡れているとか、浴室のドアを閉めろとかうるさかったが、彰吾はその唇を塞ぐと二人で大きなベッドのシーツにダイブした。
「相原っ、だめだって」
マットレスのスプリングに軽く体を弾ませて、まだ悠希が文句を言う。でも彰吾が瞳を覗くと悠希の頬は薄紅に染まって、おとなしくなった。
「……悠希、愛している」
悠希の体からバスタオルを剥ぎ取る。まだしっとりと濡れている肌は透き通るような白色から頬と同じように赤みが差した。
「愛しているよ」
もう一度、呟いた愛の言葉に悠希が潤んだ瞳で彰吾をじっと見つめている。まるで何かを確かめているように。こんなとき、彰吾はその瞳に写る人影が自分だという自信が揺らぐ。もしかしたら、悠希はこうして自分の腕の中にいながらも、今はもういない恋人だった各務を、彰吾の父親のことを思い出しているのではないかと不安になった。
「本当に……、あなたを愛しているんだ……」
黙って彰吾を見上げていた悠希がすぅっと右手を挙げた。そして彰吾の左の頬に優しく添えられる。押し当てられる温もりに彰吾は悠希の右手の甲を更に自分の左手で包んだ。
「わかっているよ、彰吾。おまえの想いは伝わっているから」
悠希の言葉に息を呑む。横たわったまま、覆い被さる彰吾に向い、悠希はとても穏やかな頬笑みを浮かべていた。
「ありがとう。そして、いつも不安にさせてごめん。俺はちゃんとおまえが見えているよ」
驚きに息を止め、彰吾は言葉を紡ぐ悠希から視線が離せない。悠希は困ったように笑うと彰吾の頬を優しく撫でる。
「もう、おまえとあの人を重ねたりなんてしていない。こんなに自信家で、でも子供っぽくて、そして一途に想ってくれる彰吾が愛おしい」
「悠希、それは……」
「返事が欲しいんだろう? 俺の答えが一つしか無いのを知っていながら聞きたがるんだな」
くす、と笑って悠希の右手が彰吾の頬から離れた。そしてそれは左手も伴って広げられると、ふわりと彰吾の両肩に回されて引き寄せられる。優しく抱きとめられた彰吾の耳元に悠希が囁く。
「――好きだよ、彰吾」
頭がその台詞を理解する前に悠希の唇を貪っていた。もう一度、彼の言葉を聞きたいのに絡まる舌が離れない。混ざり合う二人の唾液は飲み込むほどに頭を痺れさせる甘い媚薬になった。
激しい口づけの中で悠希の太腿を掴む。はぁっ、と唇を離すと細く唾液が糸を引く。それが途切れる前に彰吾は狙いを定めていた悠希の後蕾に自身の熱塊を勢いよく挿入した。
「んんっ! んんん――っ!」
悠希は下唇を噛み締めて、彰吾から与えられる強い圧迫に耐える。それでも目一杯に拡げられた後蕾は彰吾をきつく喰い締めながらも彼を素直に受け入れた。
「あっ、あぅっ! ああっ……」
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