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第128話※

 体内が形に馴染む前に彰吾が激しく打ちつけてくる。粘膜を擦られる強い刺激に悠希は思わず掴んだ彰吾の二の腕にきつく指を食い込ませた。喉から出てくる高い嬌声が、彰吾に激しく揺さぶられて切れ切れに部屋の中に響き渡った。  目の前が白く霞む。また、彰吾によって絶頂へと誘われていく。 「あぁっ、彰吾っ! また……、イキそっ……っ」  悠希の右足を抱え込み、彰吾は更に繋がりを深める。角度を変えて抽挿を繰り返す彰吾の剛直は的確に悠希の快感の源を捉え、脳の中心からチカチカと光が点滅し始めた。  はっ、はっ、と短く粗い息を継ぎ、抱えた悠希の右足に彰吾は舌を這わせ、時折、きつく吸いついた。その唇の痕はほんのりと紅く浮かび上がって、無数の花びらが白い肌に舞った。 「はあっ……、あっ、あっ……」  悠希は彰吾の名を呼びながら、自分を穿つ男を見上げた。彰吾はこめかみから伝う汗を拭うこともせず、ひたすらに悠希と溶け合おうと懸命に腰を振っている。息を上げ、眉間に皺を寄せて、こんなにまで自分を深く求めてくれる彰吾の姿は悠希の網膜に強く焼きついた。  自身が見つめられていることがわかった彰吾は、にやりと悠希に笑いかけると一気に抽送を加速する。 「ひっ、あ、あっ!」  擦れ合う粘膜から生まれる快感の激流は悠希を呑み込み、なすすべもなく流される。彰吾の掠れた声が悠希の名を呼ぶ度に、呼応するように喘ぎながら彰吾の名を紡いだ。 「――悠希っ!」  彰吾が瞬間、息を止める。ぐう、ときつく包んでいた彰吾の屹立が質量を増すと、悠希の奥に熱い迸りが感じられた。 「あああっ!!」  その熱に悠希も大きく弾けた。全身を強張らせたままで小さな痙攣を繰り返す。背中を仰け反らせた悠希の中に彰吾は残さず自分の精を放出すると、逞しい体を悠希に重ねた。互いに粗い呼吸を調え、痺れる心地好い余韻に浸る。悠希は重くのし掛かる彰吾の背中に両手を廻した。その素肌は汗で湿っていた。 「彰吾、好きだ」 「悠希……」 「付き合うとか恋人になるなんて、そんなに焦らなくてもいいと思っていたんだ。でも、確かに俺はおまえと再開してから不誠実な態度を取っていたな。よく飽きられなかったとホッとしている」  悠希の台詞に彰吾が小さく笑う。 「じゃあ俺は恋人昇格?」  その問いに微かに頷いた悠希を彰吾はきつく抱きしめる。悠希は彰吾に頬を擦り寄せて囁いた。 「――初めて会ってから十年も待たせてごめん。……あ、」  悠希の中の彰吾がまた存在を主張した。と同時に彰吾の唇や指先が悠希の敏感な部分をまさぐり始める。あがる吐息に喉を反らせた悠希が、 「待って。今夜はもう二回もイってるから……」 「だめ。さっきのは射精せずにイっただろ?」  えっ、と彰吾の言葉に驚くも、もうその意味を考えることすら出来なくなってきた。  重ねた肌の温もりに「彰吾、愛している」と言った唇を塞がれて、悠希は優しい幸福を感じながら、そっと瞼を閉じた。

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