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藤咲の父親、光昭さんが宏明に宛てた手紙.....。手書きには強い想いが込められると聞くが、それほどの相手ということは、よっぽど二人は深い仲だったんだろうか.......。 傲慢で支配欲ばかりの印象しかない宏明でも恭子さんが彼に対して同情を向けるほど藤咲の父親に宏明は陶酔しきっていたのだろうか.......。 宏明の気持ちを知って心を許してしまう恭子さんの胸の内を聞いても尚、理解するまでにはいかないし、宏明のやったことは許せなかった。 大樹自身、恋情を向けてはいけない人を好きになった経験などないし、なろうとも思わない。しかし、俺にとっては、憎らしく思う兄でも誰かにとっては愛おしい存在であったのは間違いないようだった。 俺には見せない、違う一面があるのかもしれないと思えた。藤咲が俺に笑わないのと同じように.......。 大樹は手紙を鞄にしまい、ホットサンドを食べ終えると駅へと向かっては、恭子さんと話たこと、最後に受け取った手紙のことを考えながら自宅への道のりを歩いていた。 宏明の過去など知りたくないけど、敵を攻略するなら情報収集が大事だと云うように、知らなきゃいけない気がした。 あれ以来会ってすらいない宏明.......。 あんな「言いなりにはならない」と威勢良く突き飛ばした後でも、漠然とした不安がないわけじゃなかった。 俺にも逃げずに出来るだろうか。否、決意した以上やらなきゃいけない。 宏明に怯える藤咲の為にも.......反抗できたとしても未だに宏明に対して微かな恐怖心が拭えない自分の為にも.......。

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