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身体が少し揺れる感覚に意識が戻ってくる。前方で誰かの話し声が未だ覚醒していない頭にぼんやりと入ってきた。 「律仁さん.......先輩を無理やり連れてきて良かったんですか?」 聞き覚えのある声.......声質から優しさが滲み出ているような.......。 「いいの、いいの。こうでもしないと来ないでしょ?」 もう一人は何処か軽快で.......少し無責任人さが窺えるのは、自分の知っている限りでは一人しかいない。律仁だ。 そう言えば、渉太とキャンプに行くから荷物を運ぶのを手伝ってほしいと言われていたような.......。 大樹は意識が落ちる前までの記憶を思い出し、ハッと目を開くと車内の後部座席に座っていた。どうやら眠気に誘われ、そのまま寝てしまっていたらしい.......。 目を覚まして真っ先に目に入ったのが対角線上の助手席に座っている渉太で、目の前の運転席はバックミラー越しに律仁だと確認できた。そして、車内の窓から外を覗くと流れるように通り過ぎていく風景に息を呑んだ。自分にとっては凄く宜しくない状況な気がして胸がザワつく。 これはもしかして、自分もキャンプへと連れ出されているのではないだろうか.......。 「おい......律仁.....まさか俺も.........」 運転席の男に話しかけると助手席の渉太と目が合った。 「あ、先輩、起きたんですね。おはようございます」 「あ.......あぁ、おはよう」 身体をくねらせ、爽やかな笑顔を見せてくる渉太に思わず、律仁に対して燃やしていた怒りが鎮火されてしまう。 しかし、渉太は直ぐに大樹の気持ちを汲み取ったのか、挨拶を交わしたあと「先輩、すみません.......気づいてると思うけど.......キャンプ場に向かってるんです。先輩の意見を訊かずに連れていくのは良くないって律仁さんに反対したんですけど.......」と酷く申し訳なさそうに今大樹の置かれている状況を説明しようとしてくれていた。

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